2011年7月11日月曜日

「オリーブ煮込んじゃうんですよ。」










僕は
小さな頃から
といっても
そのはじまりは
はっきり憶えてはいないが
本を読んでいると
いつの間にかその本の世界に
入り端役かなにかで参加し
巻き込まれている
ような感じになることがよくあった。


文庫で純文学を読んだ
『杜子春』芥川龍之介
『友情』 武者小路実篤
『こころ』夏目漱石
『人間失格』太宰治



杜子春が
鉄冠子に
「おまえがもし、あのとき声を出さなかったら
お前の命を絶ってやるところだった。」
と言われた時などは
僕が
鉄冠子に睨まれているような気がした




その3D状態が僕のカンドーの
基準で
3Dが現れない文章は印象も薄く
薦められて読んでも感想すら述べられない
ことがあったのだった。


村上春樹の作品
初期はちがうけれど
3Dに呼ばれる作品が多い

1Q84もそうだし、
『ダンス、ダンス、ダンス』
『海辺のカフカ』
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
『ねじまき鳥クロニクル』


3Dエフェクト作品で
詳しく
検証してはいないが
各々の3Dラインが実は
つながっている気がする



krunch へボリオリのジャケットSOHOを
受け取りにいった時
1Q84の話をしはじめたら






門前仲町の店の扉を開けた
その瞬間

あたらしい物語小説の
路地に入り込んだような
気がした
$E6��に本を持たず
生身の体で歩く


歩く歩く
隣にはお洒落な自転車を引いて
店主
話をしながら
情景が移っている
写っている
錆びたトタン張りの二階建ての無人の家
ナトリウムランプオレンジ
点滅する赤い歩行者信号


生暖かいかすかな風
滲む汗
足のウラ 指で
道の凸凹
上り下りを感じる








液晶画面で見たような
店の外観
常連のひとたちが
台本に書いてあるようなセリフ

ピアノはね
右手と左手を別々に練習するのよ

何でもおいしいけど
チリンドロンがおすすめ



L字カウンター窓側の人は
演技派の個性的俳優。
後に加わる
ヘアデザイナー

隣にはセレクトショップオーナー
ああ
緻密な脚本


キッチン奥ではマスターが
フライパンでパスタを和え始めている

少し深く白い器の中の
オリーブを齧ると
味わったことのない
本当の味が口に広がる
キになる果実な味
ヨーロッパな味
地中海周辺の食材のもと


知らなかった
こんなにうまいとは


「オリーブ入れて煮込んじゃうんですよ。」


厳しく熱い
昨年の夏に

こんな
楽しさが
訪れるとは
夢にも思わなかった

どういうわけか
きっと
なにかの計らいで


清く澄んだ
白い河
までたどり着き

水先案内人に
その流れflow
乗せられ
この時間に
たどり着いた











flow is also flux





2 件のコメント:

krunch さんのコメント...

Mr.Smith、又行きましょうね!

Streamer Smith さんのコメント...

よろしくお伝え下さい。