2011年7月3日日曜日

「ここにおまえのシゴトはない。」





なかなか大変です
うまくいかないと思います
企業ではよくあることで
相手は
恐らく百戦錬磨で
十分注意して言葉を選んで使い
あなたが
レコーダーで録っていても
係争し勝ち取るには時間が
すごくかかります


県の女性担当者は親身な感じを
装ってはいたが判で押したような
受け答えをしていた。


ケヤキ並木は
白熱した
アスファルトの路面に
深く濃い木陰の
輪郭を切り取っていた

肌を刺す
真夏の太陽は
道路工事の交通指導員も
壁を打ち付ける大工さんも
スタンドのアルバイトの女子をも


もちろん
僕をも追い込んでいた。










ここにおまえのシゴトはない


したがって出勤に値せず


一対一の会議室で
暗い蛍光灯が
照らす下で彼は
キツネかヘビのように
上目遣いで僕に言った。


会社の方針に従います


僕は考え尽くした
回答を
満を持して解き放った。

彼の評価も判断も
共にそれは事実で
ならば
正当が妥当かは
論ずることはないが
受け入れられず
他人に相談し
理屈を作り出し
あたかも
正義の味方であるかのように
その場に臨んだのだった



「じゃあ会社が死ねと言ったら死ぬのか?」




ネットの新聞ニュースで
彼の二十歳過ぎの息子が
私服婦人警官を襲い
下着を奪おうとした
わいせつ罪公務執行妨害罪
で先頃逮捕されたと

報道記事があった
オフィスのみんなが
YahooやGoogleで
検索し
これ見よがしに

プリントおき忘れなどをしていた

それも
太陽が激しく熱く燃える
同じ夏のことだった。


あれから
幾度となく過酷な夏を経て
自分自身を取り巻く
環境も
その責任の性質や内容も
すっかり変わってしまい


一度祝いの席で
軽く挨拶を交わしたことがあったが




あれから彼とは一度も会っていない。






Solar  flux.









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